佐賀藩親族帳

前回に引き続き佐賀市への出張に行ってきました。
今回の目的は、佐賀藩士が藩に提出した「親族帳」の調査です。

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親族帳とは、その名のとおり、各藩士の親族をまとめたものなのですが、親族の範囲が非常に広いことが特徴です。

ほとんどの家では、まず父方の祖父・祖母、母方の祖父・祖母から書き始められますが、その後は父・母・妻・兄弟姉妹・伜・娘・孫などの近しい親族だけではなく、大伯父・大伯母、伯父・伯母、甥・姪・従兄弟・従兄弟半(いとこはん=いとこの子)・二従兄弟(ふたいとこ=父母のいとこの子)などがそれぞれ父方・母方毎に記載されています。

父や母のいとこの子となれば、現代ではいったいどこの誰なんだ!ということになりますが、江戸期の狭く固定された世界の人間関係からすれば、どの家がどのように絡んでいるのかはしっかり把握しているのでしょう。

このような範囲の広さから、一家の親族帳だけで100人を優に超えることになります。

また、範囲が広いためか、上級藩士の親族帳の中にも農民や町人などが見受けられますが、下級藩士などになればさらに多くの農・町民の親族が記載されています。

江戸期といえども、武士と農町民は明確に分断されているわけではないということです。