家系調査の流れ 画像の説明

「本当に江戸時代の前期とか、室町・鎌倉時代以前という家系調査が出来るのですか?」

「実際にどのように調査をするのですか?」

家系調査自体がどこにでもあるサービスではありませんので、当然の疑問かと思います。このような疑問にお答えするため、弊社が行っている家系調査の一般的な流れをご紹介したいと思います。どのような方法で調査を行っているかの概略を知って頂ければと思います。

ただし、家系調査には、どの家の調査にも当てはまる一定のマニュアルのようなものは存在しません。家系調査は、10家あれば10通りの調査方法があるものです。

その家の置かれた状況・・・江戸期の身分(士農工商)や社会的・経済的立場、所属していた藩(旗本領・天領)、地域の古文書類の保存状況、古い墓碑や過去帳の有無等々によって、調べ方も大きく異なって参ります。

下記に示した流れは、あくまでも一般的なものであるという前提でご覧下さい。 例外は幾通りもあります。

戸籍調査

戸籍調査

どの家であっても家系調査は、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本を取り寄せることから始めます。戸籍の調査で判明する範囲は、ほとんどが幕末から明治初期に生まれたご先祖様までというところでしょうか。

以前は、文化・文政~天保時代(1800年代前半)頃まで遡れたものですが、最近では嘉永・安政・万延・文久・元治・慶應など1800年代後半に生まれた方までしか遡れないことが一般的になって参りました。さらに、明治以降に出生されたご先祖様までしか辿れないという事例も珍しいものではなくなってきています。

しかし、最も詳細かつ正確な資料であることには違いありません。家系調査の基本中の基本です。なお、除籍謄本等の取り寄せ方については、除籍謄本の請求方法のページで詳しく解説しています。


②旧土地台帳調査

旧土地台帳調査

旧土地台帳とは、明治20年前後から作成された、土地の所有状況を記録した資料です。その土地を管轄する法務局で無料で閲覧できますし、必要部分の複写も無料で交付して頂けます。また、地目や面積なども記載されていますので、宅地の他に田・畑・山林・原野・墳墓などの所有状況も分かるのです。

さらに、戸籍の調査では明治生まれの方までしか分からなかったという場合でも、旧土地台帳でそれ以前のご先祖様が分かることもあります。なお、旧土地台帳については、「旧土地台帳とは」のページで詳しく説明していますので、ご参照ください。


③郷土誌等文献調査

郷土誌等文献調査

戸籍の調査によって、最も古い本籍地が特定出来たところで、その地を管轄する市町村の郷土誌等の文献を調べます。郷土誌といっても、単に市町村史や県史に限りません。対象地域の図書館のホームページから、考え得るあらゆるキーワードで検索して家系調査に有益と思われる諸文献を探し出し、調査文献一覧を作成します。

この検索を的確に行うことが出来なければ、重要な文献を見逃してしまう可能性がありますが、そのためにはある程度の経験や知識が必要かと思います。

現地調査に出発する前に、これらの文献を通じて対象地域の歴史的な流れを頭に叩き込んでおくのです。庄屋(or名主)を始めとした村役等では、郷土誌の中だけでも祖先の記録が残っていたりしますし、詳細な郷土誌を作成している地域では、村役でない一般村民層の記録も記載されていることもあります。

なお、これら郷土誌関係の文献は、どうしても現地の図書館でしか読むことが出来ないものが多いものです。このため、現地調査では図書館に籠ることからスタートすることが一般的です。また、分限帳や宗門人別帳などの貴重な史料が収録されている郷土誌も少なくありません。なお、郷土誌調査の詳細は郷土誌研究の項をご参照ください。


④その他事前準備調査

上記①~③の他、実際に現地調査を行う前に、各種資料を基に情報の整理・充実を図ります。例えば、地域別の姓氏辞典家紋辞典地名辞典等々で情報を補強します。また、電話帳ソフトで本籍地周辺の同姓の家の一覧を作成し、住宅地図等で地域の寺院や共同墓地・神社などの位置を確認しておきます。

さらに、現地の図書館や資料館・文書館など、また郷土史研究会や教育委員会などに連絡を取り、古文書の所蔵先やその閲覧申請方法などの情報を出来るだけ入手しておきます。

以上までが現地調査を行うまでの事前準備調査です。

この事前の調査が非常に重要で、充実した事前調査をせずに闇雲に現地調査を行っても、時間の浪費になるだけです。弊社ではこれだけに2カ月ほどの時間を費やします。


▼ここから先は現地での調査です

⑤墓石調査

墓石調査

墓石調査は、除籍謄本の調査に並ぶ家系調査の最重要部分です。
墓石は情報の宝庫です。現地でご本家を探し出し、その家の墓地に古い墓石がたくさん並んでいるのを見ると、飛び上るほど嬉しくなります。

また、同じ地域の同姓同紋の他家の墓石からも、思いがけない情報が得られることもありますので、それらの墓石にも注意を払います。ただ、せっかく古い貴重な墓石があっても、文字が摩耗して解読が難しいことも多くあります。読めない文字も、その日の天候や時間・太陽の方向などの条件が違うだけで読めたりすることも少なくありません。そのために、同じ墓地に何度も通うこともあります。

なかなか読めなかった文字が、何度も通う内に、ある日突然と読めたということも少なくないのです。また、古くからある共同墓地などでは、墓石が墓地内のどの場所に位置しているかを確認することも重要なことです。詳しくは墓地を読むをご覧下さい。


過去帳調査

過去帳調査

ここでいう過去帳とは、菩提寺の過去帳の他に、ご本家などが持たれているものを含みます。過去帳に書かれている内容は、寺院によって多少異なりますし、同じ寺院でも代々のご住職の方針や性格によっても異なります。どちらにせよ、家系図の調査にとって貴重な資料であることに違いありません。

但し、現在では個人情報保護の関係から、たとえ直系のご子孫の方からの依頼であっても過去帳を見せて頂けないお寺さんが増えて参りました。本部から過去帳を閲覧させないように通達がなされている宗派もあります。

時代の流れで仕方がないのかも知れませんし、今後さらに厳しくなってくるものと思われます。弊社では、このような状況下においても、なんとかご協力を頂けるように努力・工夫を行っています。また、過去帳からの情報を得られない場合でも、他の方法により調査を遂行できるよう常に研究に務めています。

ところで、個人の家に備えられている過去帳には、墓石に彫られた事実と異なる場合がしばしばあります。この場合は、墓石に彫られた情報の方を信用しましょう。過去帳というのは、ある時代の当主の方が、菩提寺の過去帳を写していたりするものですが、人間ですから写し間違いということもあります。その点、墓石に彫られた情報の方が信用出来るのです。

過去帳の調査の詳細については過去帳調査をご覧ください。


⑦神社調査

神社調査

江戸期にご先祖様が住んでいたと思われる近辺の神社を調査します。この写真のような寄進碑や奉納絵馬など・・思いがけない情報を入手できることもあります。また、寄進帳の寄付額を見ることで、他家と比較した村落内での立場を推測することも可能で、想像が膨らみます。



⑧聞き取り調査

ご本家や本籍地周辺の同姓の方々・地域の古老・郷土史家・教育委員会・公民館など、あらゆる方々からお話を伺います。都合よく、いつも期待する情報が得られるというわけではありませんが、ご先祖様に直結する有益な情報を頂くことも多く、現地調査に於いて力を入れているもののひとつです。

ただ、詐欺師などお年寄りを狙う犯罪が多発する昨今、お相手のガードも厳しくなっています。見ず知らずの者が先祖の話という怪しそうな(?)ことで尋ねて来て、極めてプライベートなお話を聞き出そうとするわけですので、お相手に不信感を抱かせない会話力や一種の交渉力のようなものが要求されます。

事前調査により、予め聞き取りをするお相手を判明させることが出来ていれば、失礼のないように事前にお手紙を出した後に訪問するといった手順を踏むこと出来ます。ただ、現地調査を行っている段階で、「もしかするとご本家かも知れない」と、その場でお話を伺う必要がありそうだと思われる家が分かったりする場合など、アポなしで訪問させて頂くしかありません。

このような場合、いかに不信感を持たれずに、快くお話頂けるかについて、これはノウハウ以外の人間としての問題であるかと思います。このことについて、いかに受け入れて頂けるかを常に意識しており、それなりの成果が得られていると思っています。


⑨古文書研究

古文書研究

特に、江戸前期調査から徹底調査については、最大の決め手は古文書研究です!

分限帳・宗門人別帳・田畑名寄帳・水帳・坪付帳・宮座資料等々...江戸中期以前に遡るには、この古文書の研究は欠かせません。

問題は、これらの古文書がどこにあるか? ということです。古文書の所蔵先の特定は、ある意味古文書そのものの研究より難しいこともあるのです。

あっさり図書館で見つかることもありますが、文書館や歴史資料館、大学の研究室などの専門機関が所蔵していることも多く、郷土史の編纂事業のためなどで地域の旧家から収集した古文書をそのまま教育委員会やその関連機関が所蔵している場合も少なくありません。また、旧庄屋家などの旧家が個人で所蔵していることもあります。

ようやく探しだした古文書には、ミミズが這ったような文字がぎっしり書かれているものです。このような膨大で難解な古文書の中から該当する文書の該当する箇所を探し出すのは、とにかく「忍」の一字です。弊社の場合、調査のために費やす時間の約7割は、この古文書研究でしょうか。

▶分限帳とは? ▶宗門人別帳とは?



⑩家紋について

家紋について

家紋は家系を示す遺伝子のようなもの。家系図の直接的なヒントにはなりませんが、ルーツを特定するのに役立ちますし、本家・分家の流れを判断する材料にもなります。また、最近は自分の家の家紋を知らない方も増えてきました。そのような方には、家紋も調べてお教えしております。→家紋調査方法をご参照ください。


⑪調査報告

調査報告

調査が終了しましたら、調査の根拠となる各資料(古文書の複写や各種の画像・聞き取りの聴集記録など)を添付し、「家系調査報告書」により詳細にご報告致します。徹底調査ともなると、2~3時間もお話することも多く、ご依頼者の驚いたり喜ばれたりする様子を拝見する時が最も嬉しい瞬間です。


⑫巻物作成(希望される方)

巻物作成

調査報告の内容に納得して頂いた後、その内容を書道の先生に毛筆で和紙に書き込んで頂き、本場京都の熟練の表装職人さんに巻物にしてもらいます。

家系図というものは過去を調べて作成するだけでなく、未来に続く子孫に伝えていくことも大事なことだと思います。そのため、末尾にはかなり長い余白を設けております。後に続く子孫の方々が書き足していくためのものです。このようにして、代々受け継がれていくことを願っております。詳しくは巻物製作?のページをご覧ください。