家系分析報告書

家系分析報告書』には何を書いているのか?

前頁の戸籍調査に於いて『家系分析報告書』の概略についてご説明させて頂きました。かなりのこだわりを持って作成していますので、1冊の作成に多くの時間を掛けています。このため、毎月2件をお引き受けの限度とさせて頂いているものです。

あくまでも戸籍調査に附帯したサービスであり、『家系分析報告書』だけをお受けすることは行っていませんので、ご了承ください。

以下、「報告書にどのようなことを書いているのか?」 についてお伝えしたいと思います。

まず、実際に作成した報告書の目次を示してみます。

家系分析報告書

1章から10章で構成され、戸籍や旧土地台帳の解説から、苗字の分析、江戸時代の居住村の士族・平民別の戸数その他の諸情報。さらに、各種郷土誌やその他の文献からご先祖に関わる情報の調査、旧菩提寺や墓地・氏神社・ご本家・一族と思われる家のピックアップ、それに加えてご本家や菩提寺への照会の仕方など、多岐に亘った内容となっています。



家系調査資料集

一番の特徴は、一部で見受けられるような「推測した情報」ではないという点です。各種文献やデータなどで裏付けられた情報であり、その裏付けとなる資料やデータ類を『家系調査資料集』としてファイルに綴じてお渡し致します。

さらに、この調査結果を基に、ご自身で戸籍を越えた調査を行いたいという方のためには、

  • 「現地調査ではどこに行くべきか。」
  • 「菩提寺やご本家と思われる家に対し、どのようなアプローチを行い、どのような照会文を書くと良いのか。」

などの点についてもアドバイスを行っています。

知り得る限りにおいて、「戸籍調査による家系図」を作成する事務所等で、本報告書ほど詳しくこだわった作品はないと自負しています。


郷土誌等の文献調査で分かること、分からないこと

郷土誌等の文献調査は、あくまでも机上の調査ですので、実際に現地調査を行わなければ分からない事柄も多くあります。以下、特にご先祖調査でご依頼人の方々が知りたいと思われるような事柄について、郷土誌等の文献調査で分かること、実際に現地調査を行わなければ分かり難いことについて、ご説明させて頂きます。

これらをご理解・ご納得の上、お申し込みをご検討ください。

①ご先祖の古い墓碑の所在調査

こればかりは、現地に行かなければどうしようもありません。ただ、現地での墓地調査を繰り返してきた経験から、当時の村の範囲、里山や川などの地形の考察を基に、ゼンリン地図や航空写真などを見つつ、「今も古い墓碑が残っているとしたら、この墓地だろう。」と、ある程度高い確率で推測することは出来ます。(※但し、明治以降に大きく変貌した都心部では難しい。)

②家紋の特定

ネット上に、苗字と地域で家紋が特定出来るように書かれているサイトが散見されますが、これは間違いです。

実際に現地調査を繰り返している人であれば、同じ地域の同姓でも違う家紋を使っている事例が数多くあることは分かっているはずです。また、地域別の姓氏・家紋辞典のようなものもありますが、実際に調べてみると、例外が多くあるのも事実です。

ただ、下記④のように、まずご本家を特定させ、そこから家紋を教えて頂くということは可能かと思います。ちなみに、具体的な家紋の調べ方については、家紋調査方法のページをご参照ください。

③出自(ルーツ)の特定

これまた、苗字や地域、家紋などで出自(ルーツ)が特定出来るとする無責任なサイトもありますが、明治新姓で勝手に名門の苗字を名乗ったケースも少なくありません。苗字・地域・家紋等の情報である程度出自を推測することは出来ますが、確実に特定するのは危険であると考えています。

ただし、武士であれば、分限帳や由緒書などにルーツについて書かれていることがあり、それが活字化された郷土誌などに収録されていることもあります。商人や有力農民の場合でも、郷土誌等に書かれている場合もあります。

④ご本家の調査

原則として、現地調査を行わずにご本家を探し出すことは困難です。
ただ、電話帳やゼンリン住宅地図などで本籍地に近い同姓の家の一覧を作り、諸情報から可能性が高いと思われる方へ手紙を出して照会する方法もあります。

ご希望があれば、ご依頼人の方の事情に応じた手紙や回答書の雛形をご提供しています。なお、最も古い除籍謄本と旧土地台帳の情報を照らし合わせることにより、ご本家が特定出来る場合もあります。

⑤旧菩提寺の特定

これも④と同様です。ご希望があれば、菩提寺への照会用の手紙や回答書などの雛形をご提供いたします。

⑥江戸期の身分・職業を確定させること。

江戸期の身分・職業については、当時の居住地が町奉行の管轄地域か、郡奉行の管轄地域か、また武家屋敷があったところかなどにより、ある程度高い可能性として推測することが出来ます。

運よく、郷土誌などに直接ご先祖の名前が書かれていれば、明確に判明することもありますが、それは稀なケースです。100%の確定には、やはり現地調査が必要になってきます。
また、藩によっては、文久・元治・慶應など幕末ぎりぎりの時期や明治4年の廃藩置県までに作成された分限帳が残されており、それが活字化されて、現地調査を行わなくても調べられるケースがあります。
このような場合は、藩士であったか否かが分かりますし、藩士だった場合、家禄や役職などが判明することがあります。(但し、一般の分限帳に記載されていない下級武士も多い。)



郷土誌等の文献調査の問題点

郷土誌等の文献調査には、以下2点の問題点があります。

①地域によって、郷土誌の充実度がかなり異なること。

家系調査に最も有益な郷土誌といえば、各市町村が発行したものですが、それぞれの自治体によって郷土の歴史研究に熱心なところと、それほど熱心とは思えないところがあるようで、それが郷土誌の充実度に反映しているように思われます。

たとえば、僅か1冊の郷土誌しか発行していない市町村があれば、通史編・史料編・民俗編などに分かれ、10冊以上も発行している市町村もあります。

充実した郷土誌を発行している市町村が調査対象である方がより多くの情報を得ることが出来ることは言うまでもありません。

※特に有益なものが資料編(史料編)です。これは活字化された江戸期以前の古文書や明治以降の古記録などで構成されており、武士の名簿である分限帳や宗門人別帳・検地帳などが含まれていることも多いものです。ご先祖の名前が直接書かれていることも少なくありません。



②ご先祖の立場や身分・職業などによって、情報量が異なること。

藩士であれば、所属する藩の分限帳を調べることで、より直接的な情報が入手出来ます。商人であってもその記録は少なくないものです。江戸期の約8割を占める農民の場合、庄屋(名主)などの村役クラスであれば、史料編に収用されている古文書などにしばしば名前が登場しますが、一般的なクラスの農民の名前が直接登場することは多くありません。

以上の2点が郷土誌等の文献調査での問題点です。

ただ、上記にご紹介した目次の調査対象は、山間部の一般的な農身分であり、その郷土誌も『本耶馬渓町史』が1冊発行されているだけというものでした。そのような条件下でも、その他の文献や僅かなデータを探して、全21ページの報告書を作成することが出来ていますが、やはり情報量は多いに越したことはありません。
ただし、上述のとおり、どの市町村でも資料編を編纂しているわけではありません。